沖縄文字フォントをインストールしていない場合は、こちらのPDFファイルでご覧ください。
○モーイ親方の勉強法
私が聞き取ったものを、沖縄語を話す会の國吉さんに見ていただき、校正、助言をいただきました。
モーイ役の女性は沖縄語が十分ではありません。例えば、「皆」を「望な」、「見る」を「望じゅん」と発音していますが、それぞれ「んな」、「んじゅん」とノングロッタルです。また、男性の方も「王府」を「おーふ」、「立場」を「たちば」としていますが、それぞれ「をーふ」、「たち慠」です。
履物を履くのは「くむん」が正しく、例えば「草履を履く」なら「さばくむん」です。「はちゅん」は「佩く」に対応して、レイなどのようなものを身に着けることで、もう一つは「吐く」に対応しています。「はちゅん」を「履く」意味では共通語から来た誤用です。
そのほか気になったのは、
「あんし、情けー無-らん子やが」->「あんし、情けー無-らん子やる」
「世間かい」->「世間んかい」
昔、昔、首里んかい、モーイ親方ん廙言る優りとーる人物ぬ居いびーたん。モーイ親方ー首里王府ぬ中歹廒、三司官廙言るいっぺー位ぬ高さる立場婢し、働ちょーいびーたん。くぬモーイ親方ぬ童時分ぬ御話やいびーん。
男の子 「モーイ、揄ーやかたぐーまんちゃーし、履ちょんどー」
友人 「は、は、は」
モーイ 「はぁー、かたぐーまんちゃーし、履ちむんし、何ぬ悪さが。くぬ右やたりーから頂ちゃる足駄、左やあやーから頂ちゃるさばやさ」
男の子 「分とーらー、しかっ婢履ち直せー」
モーイ 「分てー歹らんやー。二ちまじゅん履ちゅしる、親ぬ孝やさ」
友人 「ふーん、いふーなむん」
父親 「揄ーや、あんし、情けねーらん子やが。履物ぬ話ぬ町中噂さっとーしが」
母親 「此ぬ家ぬ嫡子らーしく、しかっ婢し取らし」
父親 「うりに、なー懲ん勉強さんだれー、此ぬ我ん如首里歹廒ぬ御勤みんならんしが」
母親 「あやーやなちかしく成いさ」
モーイ 「んー。分かやびたん。たーり、あやーぬ泣ちゅるあたい喜くばせー、宜さいびーんやー」
やしが、モーイや、何ん変わらん。
父親母親 「あー、此れー成らん」
母親 「はー!モーイやまた何やまちらかちょーがやー」
父親 「望ー?おー、此れーまた、ちびらーさん!」
父親 「自見者不明、自是者不彰{みずからあらわすものはあきらかならず。みずからよしとするものはあらわれず}」
母親 「何やーびーん、うれー?」
父親 「望ー、中(ちゅう国から伝わとーる詩ぬ一ち。世間かい嬨ーまぎく見しーしぇー、返てー世間からー、見ーらん廙言る意味ぬ詩や。あー、うりぬちき廒ん、あんし見事な書ち物」
モーイ 「うー、りー、や、我ーが書ちぇーる物やいびーん」
母親 「モーイ、ゆくし言ちぇーならん」
父親母親 「おー!」
モーイ 「我んねー、皆が見ちぇー無ーらん所歹廒、勉強そーいびーん」
(以下略)